アストロバイオロジーセンター長 田村元秀のメッセージ

日本時間の2019年10月8日に、太陽型恒星まわりの系外惑星の発見の功績により、
スイスのミッシェル・マイヨール博士、ディディエ・ケロー博士がノーベル物理学賞を受賞されました。

この度の受賞、本当におめでとうございます。

私たちの太陽以外の恒星のまわりの惑星(系外惑星)が観測的に実証されたのは24年前のことでした。
すでに約4000個を超える系外惑星が発見され、系外惑星の研究は、天文学・天体物理学・惑星科学において
最重要課題の一つとなりました。

系外惑星は、アストロバイオロジーのテーマである「宇宙における生命」の存在可能(ハビタブル)な場としても有望で、その研究は、科学分野の枠を超え、一般社会への影響も大きく、21世紀においてさらに発展すると期待されています。

このような研究発展の契機となったのは、1995年のマイヨール博士とケロー博士の、太陽に似た恒星「ペガスス座51番星」を周回する木星型巨大惑星の発見でした。
発見された惑星は、太陽系には存在しない高温の巨大惑星(ホットジュピター)であったことは驚きに拍車をかけました。
これは、惑星の公転運動による主星の速度ふらつきを人が走る程度の速さで高精度に測定するドップラー法と呼ばれる手法を用いて行われました。

この発見をきっかけに様々な独立な観測方法が成功し、最近の米国のKepler衛星によるハビタブル惑星の保有率推定や、日本のすばる望遠鏡による系外惑星を直接に写す直接撮像の成功などにも繋がりました。
すばる望遠鏡では、マイヨール博士らの観測手法を目で見えない光である赤外線に応用した分光器IRD(アストロバイオロジーセンターで開発)による地球型惑星探査が本格的に始まっています。

マイヨール博士らの研究は、太陽系が唯一のサンプルだった「惑星の形成や進化」の理解に極めて大きなインパクトを与え、将来の系外生命観測への期待を高め、何よりも、地球や木星のような惑星系は太陽系以外にも存在していることを初めて物理的に示し、世界観の変革を人類に与えた、と言っても過言ではないでしょう。

この新しい分野の同じ専門の研究者として、系外惑星の観測がノーベル物理学賞を授与される科学の重要分野となったことは感慨深く、誠に喜ばしいニュースです。

アストロバイオロジーセンター長 田村元秀

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関連:アストロバイオロジーセンター開所式におけるマイヨール博士のインタビュー(英語)