研究活動

日本天文学会欧文研究報告論文賞および研究奨励賞


アストロバイオロジーセンターの平野照幸(ひらの てるゆき)准教授を筆頭著者とする研究論文が、独創的で天文分野の発展に寄与した優れた論文に対して授与される、2024年度日本天文学会欧文研究報告論文賞を受賞しました。受賞対象となった研究論文は、2020年9月10日付で『日本天文学会欧文研究報告(Publications of the Astronomical Society of Japan)』に掲載された、Hirano et al., “Precision radial velocity measurements by the forward-modeling technique in the near-infrared”(近赤外線域での順モデリング法を用いた精密な視線速度測定)です。

低温度の恒星であるM型星は、地球外生命探査のターゲットとされ、その周囲をめぐる惑星を捉えるために視線測度法が多く用いられます。研究チームは、すばる望遠鏡に搭載した高精度の赤外線分光器IRDを用いてM型星を観測し、近赤外線域での視線速度の情報を精度良く捉えることに成功しました。本論文では、IRDによる近赤外線での精密な視線速度の測定を実現するための手法がまとめられており、この手法は世界的にも多くの注目を集めています。

平野氏は、令和6年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞も受賞しています。

同じく、アストロバイオロジーセンターのStevanus Nugroho(ステファヌス・ヌグロホ)特任研究員は、優れた研究成果を挙げている博士学位取得後8年以内の天文学研究者を対象とした、2024年度日本天文学会研究奨励賞を受賞しました。対象となった研究は「すばる望遠鏡の高分散分光によるウルトラ・ホットジュピター大気中の新分子検出と温度逆転層の発見」です。

Nugroho氏は、中心星の近くを周回するホットジュピター(木星型系外惑星)と呼ばれる太陽系外惑星のなかでも、特に中心星との距離が近く極端に高温環境にあるウルトラ・ホットジュピターを観測し、惑星の大気特性の詳細な理解を目指しました。観測にはすばる望遠鏡に搭載した高分散分光装置HDSおよびIRDを用い、また独自の解析手法を考案して、ウルトラ・ホットジュピターの大気から未発見の分子を検出するなど、惑星大気についての新たな知見を見出しました。Nugroho氏は、この分野の研究の発展を大いに牽引しています。

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