2019年度のプロジェクト公募の成果が東京科学大学地球生命研究所(ELSI)からリリースされました!
ー海底下の超臨界CO2–水の二相環境で核酸前駆体のリン酸化を達成ー
近年提唱された新説である液体/超臨界CO2仮説に基づいて、地球生命研究所(ELSI)の田川翔大朗大学院生と藤島皓介准教授ら研究チームは、海底下の超臨界CO2–水の二相環境を高圧リアクターで再現し、生命の起源における同環境の機能的重要性を明らかにしました。同環境では水が超臨界CO2相に溶け込むことで脱水による分子濃縮を達成可能であること、またCO2流体と共在する水が酸性となりリン酸塩鉱物(アパタイト)から生命にとって必須なリン酸を溶出できることを確認し、結果的に60 ℃以上の高温環境で核酸前駆体(ヌクレオシド)のリン酸化が進むことが分かりました。本研究は、初期地球の海底下の超臨界CO2–水の二相環境が加水分解とリン酸枯渇問題の2つの問題を克服し、生命の起源にとって重要なリン酸を含む有機物を安定的に提供できる場であることを実験的に確かめることに成功しました。
(ELSIのリリースより引用)
詳細は東京科学大学地球生命研究所(ELSI)のリリースをご参照ください。
論文情報
論文誌:Astrobiology
論文タイトル:Prebiotic Nucleoside Phosphorylation in a Simulated Deep-Sea Supercritical Carbon Dioxide–Water Two-Phase Environment
著者:Shotaro Tagawa, Ryota Hatami, Kohei Morino, Shohei Terazawa, Caner Akil, Krisitin Johnson-Finn, Takazo Shibuya, Kosuke Fujishima*
(*プロジェクト公募採択者)
DOI番号:10.1089/ast.2024.0016