研究活動

アストロバイオロジーからスマート農業の新技術


元アストロバイオロジーセンター研究員の光合成に関する研究テーマが、スマート農業の新技術へと進展しました!

論文主著者の上妻氏がABCに在籍していた当時も実施していた研究の成果です!


小型センサで植物を見守るスマート農業の新技術を開発

クラウド連携でいつでも、どこでも健康状態のモニタリングが可能に〜

紅葉中のダケカンバを2週間に渡って観測しました。(上)8波長の経時変化。(中)日照量の推移。(下)実際の葉の色の変化。緑色が黄色、茶色と変化していく中で反射率が増減する様子が分かります。波長別の数値から、クロロフィル量やストレス応答を数値として算出することができます。(東北大学プレスリリースより)

【発表のポイント】

  • 植物の葉の裏面に取り付けて、葉の色の変化、クロロフィル(注1量、ストレス応答を検出する小型センサを開発しました。
  • 開発したセンサは、耐水性でバッテリー駆動による長期連続測定が可能な上、測定データをクラウド経由でいつでも、どこからでも確認可能です。
  • 比較的低コストで実現できるため、センサを多数設置することで、植物の健康状態の広範囲あるいは高密度でのモニタリングが可能になります。

【概要】

気候変動や人口増加の影響により、農業では効率的な資源管理と生産性向上が急務となっています。こうした背景から、スマート農業が注目されており、特に遠隔で植物の状態を把握できる技術が求められています。

東北大学大学院工学研究科の宮本浩一郎准教授、大学院生命科学研究科の上妻馨梨助教(現:京都大学大学院農学研究科)は、植物の健康状態を遠隔からスマートフォンなどの端末で確認できる新しい小型センサを考案・開発しました。このセンサは植物の葉の裏側に取り付けることで、太陽光を遮ることなく、葉の生理応答を正確に測定することが可能です。測定データはオンラインストレージで共有され、遠隔かつリアルタイムにモニタリングが可能です。また、葉色やクロロフィル含量、環境ストレスの検出も可能で、長期連続および多点同時測定システムの実現への道を拓きます。この小型センサはわずか数千円で作製可能で、農業分野などへの活用が期待されます。

本成果は、2024年9月24日にバイオセンシングに関する専門誌Sensing and Bio-Sensing Researchに掲載されました。

詳細は東北大学のプレスリリースをご参照ください。

【論文情報】

掲載誌:Sensing and Bio-Sensing Research 46(2024),100688.

タイトル:Analysis of plant physiological responses based on leaf color changes through the development and application of a wireless plant sensor

著者:Kaori Kohzuma, Ko-ichiro Miyamoto

責任著者1:東北大学大学院生命科学研究科 助教 上妻馨梨

(現所属:京都大学大学院農学研究科、旧所属:東京大学理学系研究科、自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター)

責任著者2:東北大学大学院工学研究科 准教授 宮本浩一郎

DOI:10.1016/j.sbsr.2024.100688

URL:https://doi.org/10.1016/j.sbsr.2024.100688

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