研究活動

光合成のステート遷移構造決まる


光化学系Iステート遷移超複合体の分子模型
(分子科学研究所計算科学センター作成)

太陽光は全ての生命にとって重要なエネルギー源です。植物は光合成反応を利用して太陽光のエネルギーを獲得しますが、その際の光の利用効率は常に最適化されています。最適化のしくみの一つで、2つの光化学系(光化学系Iと光化学系II)をバランスよく駆動するしくみが「ステート遷移」です。今回、光化学系Iとこれに光エネルギーを与える集光装置LHCI、さらに光化学系IIから渡されたLHCIIの三者が結合した光化学系Iステート遷移超複合体(PSI-LHCI-LHCII超複合体)を緑藻の細胞から取り出して、その立体構造をクライオ電子顕微鏡にて決定しました。これにより、2つの巨大光化学系複合体の間で集光アンテナLHCIIをやり取りするステート遷移の詳細が解明されました。本研究は自然科学研究機構 基礎生物学研究所の得津隆太郎助教(現所属京都大学理学研究科)、皆川純教授、生理学研究所の村田和義特任教授、アストロバイオロジーセンターの滝澤謙二特任准教授、高知大学理工学部の山﨑朋人助教、中国科学院のMei Li博士らによる国際共同研究チームによる成果です。研究成果はNature Plants(英国時間2021年7月8日付)に掲載されました。

リリース詳細:基礎生物学研究所プレスリリース

【掲載誌情報】

タイトル: Structural basis of LhcbM5-mediated state transitions in green algae

著者: Xiaowei Pan, Ryutaro Tokutsu, Anjie Li, Kenji Takizawa, Chihong Song, Kazuyoshi Murata, Tomohito Yamasaki, Zhenfeng Liu, Jun Minagawa, Mei Li

Nature Plants

https://www.nature.com/articles/s41477-021-00960-8

DOI:10.1038/s41477-021-00960-8