IRDの模式図。すばる望遠鏡のナスミス焦点に集めた天体の光を、ファイバー入射システムと光ファイバーを使って、温度変化が小さいクーデ室においた分光器①に入れます。また、光を分光器に入れる前に、モードスクランブラー②を通して光の乱れを低減します。レーザー周波数コム③の光も、ナスミス焦点から天体の光と同様の経路を通って分光器に入るようになっています。

 

太陽以外の恒星の周りを公転する惑星を、「系外惑星」と呼びます。太陽系内には、木星や地球など8個の惑星しかありませんが、系外惑星は候補天体を含めるとすでに5000個以上(確認されたものでも2018年6月現在4000個近く)発見されています。 その中には、地球に似た環境で生命を宿しうる(ハビタブルな)惑星候補も含まれています。 しかし、その多くは太陽系から遠く離れており、発見しても詳しく調べることが困難でした。 そのため、近くの地球型惑星の系統的な探索に期待が寄せられています。

そこで、自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンター、同 国立天文台、東京大学、東京農工大学、東京工業大学の研究者を中心とするチームが開発と製作を進めてきた、すばる望遠鏡のために新しい系外惑星の探索装置IRD(InfraRed Doppler)の開発を進めてきました。 そして、すばる望遠鏡で天体観測を開始し、2018年 2月には、その全機能を活かした観測装置のファーストライトに成功しました。

系外惑星探索はこれまで主に可視光で行われてきました。しかし、近くの恒星の多くは軽くて表面の温度が低い恒星(M型星)です。赤色矮星とも呼ばれており、真っ赤に見える恒星で、恒星のエネルギーは可視光よりも波長の長い赤外線で放出されているため、可視光では暗い星です。 IRDは、可視光ではなく赤外線の光を使って、恒星の微小なふらつきを検出します(ドップラー法)。その精度は、人の歩く速さで赤色矮星の動きを捉えることができるほど高いため、地球のような軽い惑星も検出可能です。 IRDは、これからの本格的観測により、その特徴とすばる望遠鏡の大口径を活かして、多数のM型星の周りに地球のような惑星を発見することを目指します。そのような惑星は、次世代望遠鏡による生命探査にとって絶好の観測対象になります。

ついに動き出した新型系外惑星探索装置IRDにご期待ください!

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