自然科学研究機構

アストロバイオロジーセンター

2016年7月1日

そこにあるはずがない惑星を発見

概要

東京工業大学、東京大学、アストロバイオロジーセンター、国立天文台などの研究者が参加する国際共同研究チームは、ケプラー衛星の第2期観測であるK2のデータと地上からの追観測を組み合わせることによって、準巨星のすぐそばを公転する巨大惑星K2-39bを発見しました。
 このような場所にある巨大惑星は時間が経つと親星による潮汐力(月による地球の海の満ち引きと同じ力)によって破壊されてしまうと考えられますが、K2-39bはそうなってしまう前に運良く発見された惑星ではないかと考えられます。


太陽のような恒星が年老いて膨らんだ天体を準巨星と呼びます。これまでの系外惑星探しによって準巨星のまわりにも巨大惑星が存在することは知られていましたが、準巨星のすぐそばを公転する巨大惑星はほとんど発見されてきませんでした。このことは準巨星のすぐそばでは潮汐力によって巨大惑星が破壊されてしまうという理論的な予想と一致しています。

準巨星K2-39とその系外惑星K2-39b、及び太陽との大きさの違い。
画像下部には太陽と水星の距離に対するK2-39とK2-39bの距離の対比が示されている。

(C) OLE J. KNUDSEN
オーフス大学リリースより

今回東京工業大学、東京大学、アストロバイオロジーセンターなどの研究者らが参加する国際共同研究チーム「ESPRINT」は、この予想に反する準巨星まわりの短周期巨大惑星K2-39bを発見しました。

この惑星の主星K2-39は太陽の約4倍の大きさを持つ準巨星で、惑星K2-39bの公転周期は約4.6日です。この惑星の軌道はK2-39から、親星の直径のたった1.7倍しか離れていません。これまでの予想では、このように近い公転距離では惑星に対して非常に強い潮汐力がかかるため、この惑星は時が経つにつれて早晩破壊されてしまうはずです。そのため、K2-39bは惑星が破壊される前にたまたま発見されたか、あるいは潮汐力による惑星の破壊が理論的な予想より時間がかかることを示していると考えられます。

「もしこの惑星がこれから破壊される段階にあるのなら、これからの継続的な観測によって惑星の軌道の減衰が観測されるかもしれない」と発見論文を主導したデンマーク・オーフス大学の大学院生ヴィンセント・ファン・エイレンさんは述べています。

年老いた恒星を公転する惑星の研究は、恒星が死ぬ時にそのまわりの惑星がどうなるのかを理解することにつながります。それはこれから数十億年後、太陽が巨星になる時に太陽系の惑星にどんなことが起こるのかを理解することにもつながるでしょう。


オーフス大学プレスリリース(英語)

論文情報

Astronomical Journalに掲載予定
論文タイトル:The K2-ESPRINT Project V: a short-period giant planet orbiting a sub giant star
著者:Vincent van Eylenほか
日本人著者 平野 照幸(東京工業大学)、成田 憲保(東京大学/アストロバイオロジーセンター/国立天文台)、笠 嗣瑠(総合研究大学院大学/国立天文台)、竹田 洋一(国立天文台)
プレプリント:http://arxiv.org/abs/1605.09180


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